ディジュリドゥ演奏 ― 呼吸 (bounce breathing)

息抜きにイダキ演奏の呼吸法(bounce breathing)についての英語の解説ページを訳してみました。
舌の動きについては解説がけっこうあるけど、呼吸法や腹の使い方についてはなかなか日本語のページで解説は少ないです。
舌の動きと鼻からでの呼吸を映像化したアニメーションもあるので、ちょっと参考になるかも。

イダキの呼吸法は「循環呼吸」ではない、と言っているところが大きな特徴です。
腹筋ないし横隔膜がトランポリンのようにはねながら、その跳ねのはずみで自然と鼻から呼吸が入ってくるという「バウンス・ブリージング」。「はずみ呼吸」と訳しましたが、「バウンド呼吸」でもよかったかな。

イダキ演奏が「腹芸」だと言われるゆえんなんでしょうね。

以下、http://www.yirrkala.com/yidaki/dhawu/17breath.htmlの翻訳です。このホームページ、なかなか充実している。

ディジュリドゥ演奏 ― 呼吸


呼吸の仕方と呼吸のタイミングについての議論は、これまでとりわけ謎とされてきた。ヨルング以外のたいていのデジュリドゥ奏者は「循環呼吸」を学ぶ。「循環呼吸」、すなわち、頬を力強く使うことにより、通常の吹き込みと口内での空気圧の保持を交互に行いながら基本音を維持する一連の動作である。こうすることで一定時間演奏し、大きく呼吸をとり、そしてまた一定時間演奏するということが可能になり、さらにより発展すれば、こうして幾度も行われる頬の収縮がいろいろなリズムの中にスムーズに統一化されることも可能である。ヨルングのやり方はこれと同じではない。頬をできるだけ内にすぼめておき、頬による長い呼吸を避けることが、ヨルングのたいていの奏者の意図するところである。その代わり、数多くの短い呼吸を腹によって支えつつ、またその呼吸を腹からの空気の破裂によって始動させることが、その目指すところである。


"dhirrl"という舌の動きの終わるところで、頬の動きなしに、あるいはほんのわずかに動かすだけで、すばやく息を吸うことが可能である。このテクニックは「はずみ呼吸(bounce breathing)」と多くの西洋系ディジュリドゥ奏者によって呼ばれている。呼吸の入りが、腹で支えられた吐き呼吸の素早い反応(response)だからである。「ハッ!」という息を腹を使って出せば、ほとんど本能的に、「はずみ」のように即座に呼吸が入ってくる。イダキを演奏する際のこつは、これらの相異なる部分部分をひとまとめにすることである。"dhirrl"と言いはじめるやいなや腹を使って空気を押し出し、そして舌の動きが完了するところで鼻から呼吸が入る。右の画像のボタンをクリックして、アニメーション動画を見て、聞いてくれ。ほぼこのテクニックと同じである。


最初に例として挙げたイダキの簡単なリズム(ditu-dhu dhirrl dhirrl)を用いて、それぞれ3パートのはじめに腹を鼓動させ、そしてdhirrl動作と空気の破裂の反応として呼吸が入るようトライしてみてくれ。


最初は難しいかもしれないが、これは可能なのだ。なんたって、ヨルングはこれを何千年間もやってきたのだから。ジャルーとウィニウィニの素早い呼吸を見て聞いてみてくれ。この圧縮動画では、鼻から息を吸っているのを聞くのに必要な高周波が削られているが、それでもまだ聞くことができる。とくにウィニウィニの動画で。ヘッドフォンを使って聞いてみてくれ。