施設

財務省にいってきた。
財務省障害福祉サービス担当の主査は障害者問題について何も知らなかった。
新聞報道以上は知らなかっただろう。
だから、障害者がどこでどうやって生きているかなんて何も知らないのだろう。
イメージだけだろう。
そんななかで、数字だけを見て、そしてわずかばかりの厚労省担当者の説明を聞くだけで、予算が妥当かどうか決めていくのだろう。

ひょっとしたら、厚労省財務省に責任をなすりつけているのかもしれないが、歳出抑制は財務省役人にとっての重大任務であり、そして、それを遂行することが出世の道でもあるのだろう。

厚労省役人としても、その財務の方針に従うことで、出世の道が開かれる。そして権限、権力、人望が手に入る。


人を見ずに、組織を見る。それが働く人多くの気持ちだし、それによって組織運営が成り立っている。
組織のために尽くすことが、自分にとっても全体にとっても、お客さん(ないし市民・国民)にとってもいいことだと思う。それが全体の利益に奉仕することだ。

かたほうで、一部のお客さん(ないし市民・国民)の声を切り捨てるわけで、そこにいくらかうしろめたさがないわけでもない。

けど、多くの人は、そういう組織命令に従う自分をたたえてくれる。仕事だからね、ということで、承認してくれる。

「施設」という問題も同根だろう。

別に大半の施設職員は悪い人じゃない。

上司や家族の意向に従って、入所者の処遇を決める。もちろん、上司や家族の意向の範囲内で、入所者の声を聞く。

もう、十分に聞いているじゃないか。もう十分にその人の人権を尊重しているじゃないか。

だって、上司も家族もオッケーだと言っているのだし。

ちょっとかわいそうだな、と思うときもある。けど、本人はよくわかってないみたいだし、こんなくらいがわたしたちにできる最良のことさ。人手不足の中、こんなにがんばっているのだし。


もちろん、財務役人も、厚労役人も、施設上司も、みな、まっとうで合理的なことを言う。

これが国民感情にそったやり方。利用者の自立を尊重したやり方。利用者の健康を守るやり方。


国の財政も逼迫しているのに、障害者にばかりお金をかけたら国民感情が納得しません。財政再建ですよ。
他の人はがまんしてるのだから、あなたもできるはずです。
あなたの言うことはわがままです。
どれだけわたしたちを困らすの? みんな心配してるのよ。
助け合いでやっていくのだから、ご家族の意向も尊重しないといけません。
そんなに外出ばかりしたら、健康を害します。
そんなんで、みんなが納得すると思っているのですか。


くそくらえだ。


解体すべし。

外なる施設も、内なる施設も解体すべし。
外なる合理も内なる合理も解体すべし。
外なる収容所も内なる収容所も解体すべし。

おまえの内なる序列、人間選別、隔離収容政策を解体すべし。