イラク空自派遣違憲判決と依願退官
裁判長はすでに3月末に退官しており、判決は代読で行われたそうだ。
ふと思い出した。
名古屋大学で法学部の憲法の授業にもぐりこんでいたとき、森秀樹教授に教わった。
砂川事件の伊達秋雄判事、長沼ナイキの福島重雄判事、ともに政治的圧力をかけられ裁判官をやめざるをえなかったと。
福島判事については、以下の記事を見つけた。
「昭和四十八年九月、長沼ナイキ基地訴訟で「自衛隊違憲」の判決を出した、福島重雄裁判官である。九月退官。新聞は故郷で公証人になると報じていた。最後の肩書きは、福井家庭裁判所判事であった。
「自衛隊違憲」判決の時には札幌地方裁判所第一部裁判長だったのに、十六年後には、地方の一家裁判事にまで格下げされていたのである。」
伊達秋雄も、判決後に辞表提出の意向であったが受け取られなかったという。そして判決より2年後に退官。その後は法政大学教授。
今回のイラク空自派遣違憲判決の青木邦夫は、3月末に裁判官を依願退職し、4月より名城大学院の教授だそうだ。
すでに与党議員から、「最後っ屁」などと揶揄されている。
しかし、こういう判決を出したらその後政治的圧力をかけられ冷遇されるというこの法曹界の風土、それこそ是正されるべきだ。
傍論での違憲判決は特異、と読売では語られていた。それはそうかもしれないが、そこをあおりたてる前に、こうした風土(政府意見に追随しない裁判官は冷遇される)のおかしさこそ、とりあげるべきでないか。